入居後の“心のケア”が大切！新しい環境に慣れるためのヒント

1．はじめに：施設入居は「ゴール」ではなく「新しいスタート」

高齢者施設への入居は、介護や生活の安心を得るための大切な一歩です。
しかし「入居したら安心」と思っていても、実際には新しい環境や人間関係の中で、心の面に不安を抱く方が少なくありません。
施設入居は“生活の変化”であり、そこには新たなスタートがあります。
今回は、入居後の心のケアや環境に慣れるためのヒントを紹介します。

2．新しい環境で感じる不安とは

入居後、最初に多くの方が感じるのが「知らない場所での戸惑い」です。
長年暮らしてきた自宅を離れることは、大きな決断です。
慣れない部屋、他の入居者、決まったスケジュール…。
「ここでやっていけるだろうか」「家に帰りたい」という気持ちが出てくるのは自然なことです。

また、家族と離れて過ごす寂しさや、介護される立場になることへの抵抗感など、心の葛藤を抱える方も多く見られます。
この時期は、身体のケアと同じように“心のケア”を意識することが大切です。

3．慣れるまでの時間と心の変化を理解する

環境に慣れるまでの期間は人それぞれですが、一般的には1～3か月ほどといわれます。
最初の1か月は不安が大きく、なかなか馴染めないこともありますが、少しずつ生活のリズムが整い、職員や他の入居者との関係も築かれていきます。

家族としては「もう慣れたかな？」と気をもむこともありますが、焦らず見守る姿勢が大切です。
無理に活動を勧めるよりも、「今日はこんなことがあった」と話を聞いてあげることが、安心につながります。

4．家族にできるサポートのかたち

入居後の心の安定には、家族の関わりが欠かせません。
たとえば、

◆こまめに連絡をとる（電話や面会）

◆季節の便りや写真を送る

◆小さな喜びや変化を一緒に話す

◆時には家族と一緒に外出をする

こうした何気ないやりとりが、入居者にとって大きな支えになります。
また、施設スタッフに家族の希望や性格を伝えることで、より本人に合ったサポートをしてもらいやすくなります。
“家族と施設がチームになる”意識を持つことが大切です。

5．スタッフとの信頼関係づくりが安心につながる

施設生活を快適に過ごすためには、スタッフとの関係性が大きく影響します。
「何かあればすぐ相談できる」「自分の意見を聞いてもらえる」と感じるだけで、心理的な安心感はぐっと高まります。
スタッフとの会話を通じて、日常の小さな不満や不安を共有できる環境を作りましょう。

また、家族もスタッフとのコミュニケーションを大切に。
定期的に様子を確認したり、本人の生活の変化を共有することで、より信頼関係を深めることができます。

6．心が落ち着く環境づくりのポイント

心の安定には“居心地のよい空間”も欠かせません。
お気に入りの写真や思い出の品を部屋に飾る、好みのカレンダーをかけるなど、
少しでも「自分らしさ」を感じられる空間にする工夫をしましょう。

また、趣味活動やレクリエーションへの参加も、気持ちを前向きにする効果があります。
新しい友人やスタッフとの交流が生まれるきっかけにもなります。